脳の発達と幼児教育
妊婦さんや赤ちゃんのご両親に「お子さまがどんな子どもに育ってほしいですか?」と質問しますと、殆どの方が「健康であればそれで十分です」とお答えになります。
乳幼児教育については、
「勉強はいずれ嫌でもしなければならないのだから、小学校くらいまでは、のびのびと過ごさせたい」と答える方が多い様です。
幼児教育に疑問を持たれるお母さまは、たいてい反論の根拠として「のびのび」や「自然」をあげます。本当に幼児教育は、子どもにとって自然なことではなく、窮屈なことなのでしょうか。やがてどの赤ちゃんも、小学校に入り、中学校に入ります。その頃になっても、「うちの子は、五体満足だからこれ以上は望まない」、「のびのび育っているから、これだけで十分」と言い切れるでしょうか。幼児教育について、もう一度、真剣に考えてみる必要があるのではないでしょうか。
学校の保護者会の席などでは、「うちの子は集中力がなく、何をしてもあきっぽい」とか「もう少し勉強してくれればいいのに」というような悩みを訴えるお母さまがしばしばいらっしゃいます。「五体満足ならそれで十分」、「のびのび育てたい」と考えて育児を始めたお母さまも、子どもが学齢期になれば、必ず進路や教育についての悩みを持つようになります。けれども、そのときになって「あのときこうすればよかった」と思っても、すでに遅いのです。
後悔しない育児をするために、胎教を受けた赤ちゃんのすばらしさについて是非学んでください。
人間の赤ちゃんの脳は「半熟状態」で生まれてくる
人間をはじめ、いろいろな動物の胎児や赤ちゃんの研究をしているスイスの動物学者ポルトマンは、ある時とても重要なことに気付いたのです。 それは 「人間はすべての動物の中で一番高等な動物であるのに、脳は一番未熟な状態で生まれてくる」ということです。キリン、馬、牛や羊など、人間以外の哺乳動物は、あらかじめある程度の能力を持って生まれてきます。野生動物の世界では、いつ敵に襲われるかもしれません。そのため動物の赤ちゃんは、生まれるとすぐに立ち上がり、親に似た行動をとり始めることができるのです。これは、動物の赤ちゃん達はすでに成熟した脳を持って生まれてきていることを意味しています。
一方、人間の赤ちゃんは、立って歩いたり自分の手で食べ物を口に入れたりできるようになるまでには、1年以上もかかります。ポルトマンによると、人間の赤ちゃんが動物の赤ちゃんと同じくらいの能力を持って生まれるためには、おなかの中になんと21か月もいなければいけない計算になるそうです。
けれども、実際に人間の赤ちゃんがお母さまのおなかの中にいる期間は、いわゆる十月十日。脳の状態はまさに「半熟」で生まれてくることになります。
これは、なぜなのでしょうか?
人間は本来、お母さまのおなかの中にいるべき期間の半分で生まれてきます。その後は、五感を通して人間社会の素晴らしい環境からの刺激を受けながら育っていきます。このことにより、赤ちゃんの140億の脳細胞から神経 繊維が出てきてからみあいが行われ、どんどん成長していき、ほかの動物とは比べ物にならないくらいの高い知能を持つようになるのです。
つまり、人間は「脳が半熟」の状態で生まれてくるからこそ、万物の霊長と言われるまでの高い知性の発達を遂げることができたわけですね。このことは、私たちに何を語っているのでしょうか? それは、
「早い時期からの乳幼児教育がいかに大切か」
ということです。
赤ちゃんの「脳の成熟」は、母親の手によってゆだねられていると言っても過言ではありません。ですから、お母さまは、自分の手でわが子の脳を育てることがとても重要な仕事であるということをここで認識し ていただいたと思います。

